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懐かしいテープがでてきた。Keith sweat のI'll give all my love to you.
この中のYour Love Part2の曲の始まりのPart2っていう声が大好きで何回も聞いていた。そして、初めて人にプレゼントしたテープ。今程外国人があたり前にいない時代の事、近所のスーパーにおつかいに行くと人の良さそうな外人がいた。黒人がめずらしいのか怖いのかまわりの大人達は、彼が質問をしようとしても逃げていく。諦めた様に笑った彼を見て胸をつままれた。たどたどしい言葉で何を探してるの?と聞くと、とてもかわいい顔で笑った。それから私達の友情は始まった。
喜んでおつかいにいった。彼はカゴを持ってくれ、あれこれいいながら買物をした。楽しかった。だけど私は彼の名前や国籍も知らなかった。知る必要がなかった。お互い片言だからあまり意志疎通が出来ていたとも思えないし齢もかなり離れていた。日本食の作り方を教えたり。今思えばひどい代物…彼はでかいなりして、蛸が怖いと魚売場には近付かなかった。日本に来てすぐ、蛸の活け造りを振る舞われたらしく、ぶつ切りの足がうにょってる様がなんとも気持ち悪かったらしいのだ。すごくキュート。しかしそんな様を近所のババ達が黙ってる訳は無かった。
彼に会った。仕事の関係上会わざるをえなかった。私が唯一苦手な彼。愛していた。手に入らないと分かりつつも、関係を重ねていた若かりし頃。ビジネスライクな話をした後、彼は部屋を予約していると言った。会社として用意させて頂いているから…と。時間を見れば、新幹線の最終に間に合う瀬戸際。名残惜しさを胸に秘め、仕事を理由に留まる事にした。街を案内してもらい、昔の話は語らず、ただ、旧友として、その場を楽しんで、ホテルに戻る。ホテルのフロント前で別れた。これで、良かった。と少し期待しないわけでもない、さもしい己を笑いながら。
午前二時。部屋の電話がなった。とると、彼だった。329号室にいる。飲まないか?と。同じホテルに部屋をとっていたらしいのだ。気がむいたらと曖昧な返事をしながら、身仕度を整えていた。部屋へ行くと、千年の孤独がおいてあった。探すの苦労したよ、と彼は笑いながら、ブルーチーズに鰹節をかけた肴まで用意してくれていた。二時間程、話した後、彼は私を抱き締めた。懐かしさで胸がいっぱいになると同時に自分の体の記憶力の良さに呆れた。自分は彼と寝にきたんだ。とはっきりとわかった。彼は、今夜は側にいてくれと言った。昔と変わらない人。
体を重ねている内に、あの頃と気持ちがシンクロする。自分勝手で自信家。だけど、彼のセックスは昔とは違っていた。慈しむ様に、彼は私を抱いた。終わった後も、彼は私を離さずに、抱き締めて眠った。私が私の最後の男を見付けたと言ったからかもしれない。彼の中では、私は彼の後をついてくる、子供な女のままでいて欲しかったのだろう。私は抱き締められながら、永遠に特別な男だと思っていた呪縛から解放されていった。