【Night Cruising】
　ナイトクルーズ


日曜、いつもより早く店を閉める。松葉杖をリアシートに投げ込みホンダ
に乗り込み、２３号線を名古屋方面に向かう。
日曜深夜の交通量の少なさはドライヴには最適だ、なにも考えずにハンド
ルを握り、気が付けば三重県に入っていた‐
左足だけで運転するのも慣れたね、日常も左足でブレーキを踏むので違和
感もなにもない。

伊勢湾岸道路に車線を変更、距離的に２０Kmは海の上を走る湾岸道路は貸
し切り、港の灯りと薄らした霧、照らすヘッドライト、６０マイル‐
すべてが心地よい、爽快な気分だ。
まるで夜空に向かうフリーウェイ、今夜はあの星まで走りに行こう。

毎日毎日忙しい、いつの間にか年をとっていく。

「俺は何をしてきたんだろう？」

疑問に感じることもある、人間の一生なんて少ししかない、好きな事をし
て暮らすべきだね。
好きなことをして暮す、こんな愉しいことはない、皆望んでいるがなかな
かできないのが現実なのか？
自分が何が好きなのかを社会にもまれ見失ってないだろうか？

「好きなことが出来ないなんて生きてる意味がないんだよ」

なにかを探しに行こう。
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