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どこまでも真っ黒な世界に、上下左右もわからない状態でそこに浮かんでいた。
もうどのくらいになるだろう。気が付けばそこにいて、たまに思い立っては必死にもがいては何かを探すのだが、進んでいるのかどうかもわからない。
何年、何十年、おそらくは何百年もそうしていた。
どこまでも真っ黒な世界には青白く光る小さな点が四方八方、遥か彼方に散らばっていた。
あるときその青白い光に乗って、懐かしい歌がきこえてきた。
とても懐かしくやさしいその歌に耳を傾けていた。
何十年もそうしていた。やさしいその歌に包まれて、もうもがくことをしなかった。考えることをしなかった。
しかしあるときその歌がやむと、いてもたってもいられなくなった。必死でもがいた。ひたすらにもがき続けた。いくらもがいてみたところで歌は聞こえてこなかったが、それでももがき続けた。
何十年、何百年もがき続けてちからつきた。すべての考えることをやめた。すべてのもがくことをやめた。すべての自己を否定した。
それでもやさしい青白い光は包んではくれなかった。