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暗い、暗い海の底に横たわる。自分は上を見ている筈なのに太陽が届かない深海。不思議と苦しくない。けど心地良いわけでもない。自分は誰なのか?いつから此処に居るのか?生きているのか?死んでいるのか?思い出したくても思い出せない。時々海の歌声が聞こえる。あれは死神かもしれない。早く連れて行ってくれないか?少し離れた場所から笑いながら見ているヤツが居る。あれが死神なのか?もう連れて行ってくれ。真っ暗な筈なのに見えているのは何故だ?楽になりたいんだ。
お母さん教えて。
僕はなんのために生まれてきたの?暗い穴の中に押し込まれて、暗くて、狭くて、苦しくて…そして恐かったんだ。
お母さんは僕が生まれた時に嬉しくなかったの?僕を生みたくなかったの?僕は邪魔だったの?
僕はお母さんが大好きだったんだ。
いつから僕を嫌いだったの?僕はいい子にしたんだ。一生懸命いい子にしてたんだ。それなのにお母さんなんで?なんで僕を捨てたの?僕は寒かったよ。雨も降ってきたんだ。僕が最後に見た空は青くなかった。
僕はもっとたくさんの事をしたかったんだ。たくさんのものを見たかったんだ。